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2013年5 月14日 (火)

オートファジー誘導ペプチドの有用性

オートファジー誘導ペプチドの有用性

Nature 2月号から薬学科の5年のRuikoちゃんのプレゼン。オートファジー調節は様々な病気の治療ターゲットとなる可能性があることは知られていた。オートファジーを特異的に誘導する薬は未だ存在しなかった。ある種のウイルスはオートファジーを調節することで自己に有利な環境を作り出していることを基に、beclin1の267-284番目のアミノ酸がNefとの結合に必要であることを明らかにし、その後、可溶性を上げるアミノ酸の置換とともに、細胞透過性を上昇させるためにTatを融合し、beclin1を基盤にしたオートファジー調節ペプチドを作成することができた。また、Beclin-1をゴルジ体にトラップするGAPR-1が内在性のオートファジー抑制因子であることを明らかにし、Tat beclin1の作用メカニズムとして、Tat beclin1がゴルジに存在するbeclin1とGAPR-1の相互作用を解離させ、beclin-1を細胞質放出させ、オートファジーを誘導することがわかった。さらに、ハンチントン病、AIDS、チグングニヤ熱、ウエストナイル熱の治療に有用である可能性も in vitroやin vivoで明らかにしている。高濃度処置では毒性はあるが、有効量では、副作用もないという。懸念されることは、抗原性が出てくることであるが、チグングニヤ熱、ウエストナイル熱が新生児において問題なっていることから、新生児のころだけに単回投与だけで生存率ががあがるのであれば良いのかもしれない。サプリメントのfugureだけで27個あった。データ量(様々な観点から、これでもかと抑えのデータを取る)は信頼性高い研究成果としてアピールするには必須である。プレゼンは大変高いレベルであった。質疑応答も立派であり、内容をきちっと自己消化されていることが伝わってきた。発表時の声の張りも良い。後輩や演習で参加している学部2年生にとっても見本になるゼミであった。


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