PAGE TOP

2012年1 月20日 (金)

急速進行性糸球体腎炎の治療への道

急速進行性糸球体腎炎の治療への道

Nature Med. 2011 10月号から。薬学科5年のRuiちゃんのプレゼン。急速進行性糸球体腎炎は、WHOの定義では急性あるいは潜在性に発症する肉眼的血尿、たんぱく尿、貧血、急速に進行する腎不全症候群であり、壊死性半月体糸球体腎炎を主病態とし、数週間から数ヶ月で末期腎不全になるという。現在の治療法としては、ステロイドや免疫抑制薬が使われ、透析療法も併用される。今回の論文は、ポドサイトにおいて、HB-EGFをリガンドとするEGF受容体を抑制すると、この病態モデルが改善することと、ヒトの病態においてもHB-EGFが高発現していることから、このシグナル経路を特異的にターゲットできれば治療が可能ではないかと提唱している。マウスモデルではあるが、EGF受容体のチロシンキナーゼを選択的に抑制する内服抗ガン薬であるエルロチニブ(ERLOTINIB)が発症後の症状がピーク時に投与しても有効であったことを示している。ただし、以下のようにエルロチニブの副作用として、頻度は低いが急性腎不全がある。また、あくまでも進行抑制のための対症療法であり、治療には、根源である免疫異常を抑制していかないといけないだろうが、免疫抑制薬にも腎毒性という副作用があるため治療にあたっては慎重に対処しないといけない。将来行われる(現在進行中?)であろう、この疾患に対するエルロチニブの臨床試験結果が知りたい.

 

(エルロチニブの副作用)

4)急性腎不全:
(1)急性腎不全(非小細胞肺癌0.1%):急性腎不全等の重篤な腎機能障害が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行う。
(2)急性腎不全(膵癌頻度不明):急性腎不全等の重篤な腎機能障害が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行う。

ご意見メール
clear_both