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2011年7 月12日 (火)

パーキンソン病の神経変性メカ

パーキンソン病の神経変性メカ

Cell 2011年3月号から。創薬生命3年のChosa君の初ゼミ。

 

パーキンソン病の代表的な原因タンパク質であるParkin(E3ユビキチンリガーゼ)の活性が低下すると、基質のひとつであるPARIS(転写抑制因子)の発現が増加し、PGC1α(神経保護作用)の遺伝子発現を抑制することでドーパミン神経の変性が起こること、そして、PGC1αを補うと神経の変性が抑制されていることが示された。この論文の面白いところは、検討した全てのパーキンソン病患者において、上記の分子の発現変化がきれいに観察されること、Parkinのノックアウトマウスは発生期に補完的なメカニズムが関与して、表現型は何も示さないが、成長した後にParkinをコンディショナルにノックアウトするとドーパミン神経の変性が見られるようになるということ。今まで、神経変性疾患の原因と考えられている分子についても、同様なコンディショナルノックアウトマウスを作成すると患者に近い表現型が得られる可能性が高い。事実、 GDNF (glial-cell-line-derived neurotrophic factor)のノックアウトも同様なことが報告されている。

 

治療的な観点からPGC1αの発現増加あるいは活性化をどうするかを考えていくとパーキンソン病の進行抑制に繋がるという。

 

初ゼミ Chosa君、よく奮闘しました。次回はさらに良いゼミを!

 

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