2011年6 月 9日 (木)
網膜前駆細胞を移植する未来が!?網膜前駆細胞を移植する未来が!?
Nature 4月号から。Oka-chan.
加齢性黄斑変性症などは、網膜の構成細胞が変性することにより失明に至る。再生医療で根本治療ができないかという研究が展開されてきている。理研(神戸)らの研究グループは、ES細胞から高次構造をもつ網膜組織を作れることを示した.理研のホームページにもトピックとして紹介されている。そこから、研究グループの生のコメントを一部抜粋すると、
(今回の研究は、生体内では複雑で解析が難しい器官誘導のメカニズムを、ES細胞を用いた単純な培養系によって証明したことになる。笹井グループディレクターは、「眼杯形成や神経網膜の多層形成という複雑な組織形成が、実は網膜前駆細胞に内在するプログラムをもとに、自己組織化によって起こり得ることが明らかになりました。特に、眼杯の自己組織化については、シュペーマンの実験以来、1世紀に渡る論争に一つの結論を示すことができたと思います」と語る。一方で、「生体内では周囲の組織との間にも複雑な相互作用が存在し、それらが2重、3重に働いて、より精密な眼形成が再現性良く起きているのではないか」と推測する。今回の成果は医学への応用も強く期待される。「ES細胞やiPS細胞から、細胞ではなく組織のレベルで網膜を構築し、機能組織の移植によって網膜変性疾患を治療するという、新しい発想の再生医療の可能性が開けました」)
iPS細胞の研究についても、腫瘍化の問題も、c-mycの代わりにGlis-1を使うと、腫瘍化が抑えられ、かつ、マウスでは100%の確率で、ヒトでは50%の確率で作製できるという報告が本日公開のNature誌に発表された.<iPS細胞>量産へ「魔法の遺伝子」Yahooニュース
じわりじわりと再生医療社会に近づいてきている。