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2011年6 月 3日 (金)

受け入れるか受け入れないかの判断

受け入れるか受け入れないかの判断

生体は外来異物に対して、免疫に対して排除する重要な仕組みを持っている。自己と非自己とを区別して排除しているともいう。しかしながら、我々の体には非自己でありながら受け入れられている外来異物がある。代表的な例は、腸内の細菌だろう。成人では、100種類以上、100兆個を超える細菌が生息しているという。これらを受け入れる仕組みには、TLRという細菌由来の分子を認識する受容体が制御性T細胞を誘導し、免疫応答を誘導することが関与していることは知られていたが、多くの共生細菌が非特異的にTLRに作用しているのでは特異的な反応は説明できなかった。Fukuda君が紹介したScienceの5月号の論文は、ヒト大腸の共生細菌のうち 1−2%を占めるBacteroids Fragilisが関与し、この細菌由来のPolysaccharide AがTLR2を介して制御性T細胞を誘導し、Th17細胞の免疫応答を抑制し、共生細菌の維持に関与していることを明らかにした。生体は、単なる自己、非自己ではなく、生体に有益かどうかの判断により、外来異物を受け入れるか受け入れないかの判断をしている。

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