2010年6 月21日 (月)
学会報告学会報告
先週の学会参加は様々な観点から勉強になった。特に、透析医療学会がこんなにも大規模でにぎやかな学会だとは想像していなかった。企業スポンサーのバックアップも尋常ではなかった.色々な意味で大きなショックを受けた。あるシンポでの話題を以下に列挙したい。それをどう捉えるかは読者に委ねたい。
1.生存率が高い腎移植医療(ドナー不足は否めないが)と透析医療との関係。透析医療学会として、ドナーの必要性と、昔に比べ格段に良好な腎移植医療の有用性を前面にアピールすべきでは!? 糖尿病性腎症などで血管病変が顕著になる前に移植しないと手術が困難であるため、移植医療への早期の考慮も。
2.腹膜透析と血液透析の関係。腹膜透析をもっと普及し、かつ、介護士が関われる医療にすべきではという意見や残存腎機能があれば腹膜透析をまず優先するという考え方もある。
3.保険財政の圧迫
4.非透析/透析中止の患者に対する現場における対応の難しさ(訴訟で敗訴もあったとか)。
5.数十年前の透析医療と異なる点:透析年齢10歳アップ(平均69歳?)。透析患者の急増。透析移行する際の基準の低下。糖尿病性腎症患者の透析の急激な増加。透析移行の基準に関して、高齢と糖尿病を別枠で考えるという議論も。
6.心血管イベントと透析導入時期の関係の矛盾。
患者のスタンスに立った、透析に移行しないような方法(薬や医療機器)の開発と腎移植の推進が重要であることを強く認識でき、大変有意義な学会参加であった。
保険財政の観点から、今後も現状の透析医療体制が恒久的に維持されるとは思えない。少なくとも既に透析に入った患者のために、早急の国家的対策が必要であろう。