2010年6 月22日 (火)
ジェリーがトムから逃げるためにジェリーがトムから逃げるために
今朝は、Oka chanが大変面白いセミナーをしてくれた。論文はCellの5月号で表紙を飾った秀逸の研究内容である.マウスが捕食者のどのような分子を認識して、逃避行動を起こすのかということを明らかにした論文.ラットの尿やネコの唾液に含まれるMup familyというタンパク質を同定し、その分子が鋤鼻器官にある神経細胞のTrpC2というチャネルに作用し、刺激を伝えるという。TrpC2 KOマウスは、麻酔をかけたラットにも近寄っていくということから、視覚の情報よりも、異種で働くKairomone(同種で働くPheromoneとは異なる)であるMup タンパク質を認識する感覚が逃避において重要であることは明白である.ということは、「トムとジェリー」の世界において、ジェリーはトムを視覚的に認識しているのではなく、ネコが共通に発するMup タンパク質に反応して逃げているということである。そういう視点で「トムとジェリー」をみたらどうだろうか。ネコの場合は、Mup タンパク質は、尿中にはなく唾液に多く含まれるという。Mupタンパク質をノックアウトしたKOネコは、マウスの補食確率が高いということか。あるいは、揮発性のMupを打ち消すような成分を含む水を与えておいても良いのかも。Kairomoneの研究は面白い.