2009年12 月16日 (水)
Tリンパ球における電位依存性カルシウムチャンネルTリンパ球における電位依存性カルシウムチャンネル
今朝のセミナーは、今月号のNature Immunol.の論文。免疫系の細胞における細胞内カルシウム量はその活性に極めて重要。そのカルシウムの由来は、カルシウムストアサイトと細胞外であるが、細胞外のカルシウム流入にはナイーブT細胞とエフェクターT細胞で関与するカルシウムチャンネルが異なる。今回は、ナイーブT細胞にCav1.4という電位依存性カルシウムチャネルが関わることをきれいに証明した研究。活動電位を発生しない非興奮性細胞における電位依存性カルシウムチャネルの役割を明らかにした点でも面白い。このチャネルは細胞膜のラフトにおいて機能しているが、どのように活性化されるかは、まだ不明である。この論文から臨床展開を考えると、高血圧治療に用いられるカルシウム拮抗薬を免疫系の疾患に用いるとどうかということである。PubMedで調べると、ニフェジピンが活性化された免疫系を抑制し、全身性エリトマトーデスに有効ではないかと基礎的な研究成果が2008年のClinical Immunol.に発表されていた。カルシウム拮抗薬を服用している高血圧患者の内,免疫系疾患も有する患者を対象に、症状の変化の有無について調べてみたらどうだろう。効果と副作用の観点から。
プレゼンしたウッチーは落ち着いた発表で良かった。