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2024年1 月10日 (水)

アルポート症候群の研究について(その1)

アルポート症候群の研究について(その1)

cystic fibrosis、amyloidosisとタンパク質のミスフォールディングによる遺伝性疾患に関する研究や分子シャペロンを誘導する薬や医療機器、ガンの温熱療法に併用する分子シャペロン抑制薬の研究という河の流れが行き着いたところが、アルポート症候群という主に慢性的な腎病態を示す遺伝性のタンパク質ミスフォールディング病(原因タンパク質は4型コラーゲン)であった。それまで、糖尿病を対象にしたMET(Mild Electrical and Thermo-stimulation)と呼んでいたPhysical Medicineプロジェクト(後述)における臨床試験で、メタボ対象者の腎機能が少し良くなっているような所見から、METの腎保護作用を動物実験で検証できないかと、当時の大学院生の古賀君と話をしていた。しかしながら、慢性腎臓病として有名なのが糖尿病から進展する糖尿病腎症であるが、顕著なタンパク尿などの病態を示すモデル動物は様々な観点から探索したが適切なモデルはなかった。そのような状況の中、アルポート症候群のファミリーが身近な仲間にいたことを偶然知った。アルポート症候群患者の置かれている深刻な状況を知ると共に、創薬研究のために明確な腎病態を示す有用なマウスモデルが存在することを知った。そこで、至急、海外のマウスバンクからモデルマウスを入手し、研究がスタートすることにした。最初の頃は、地道にマウスを交配し、数を確保しつつ、METが慢性腎臓病に有効であるかどうかを検証するプロジェクトを実施した。その結果、METがアルポート腎病態にある程度有効であることを証明することができ、2012年、PLoS Oneに論文を掲載した。Class2認定のMET機器もアルポート患者に使用できないか、何とか助けることができないか、考え始めていた頃である。

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