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2023年2 月25日 (土)

アート&サイエンス フェルメール編 序章

アート&サイエンス フェルメール編 序章

36年間の教員生活の中で、学会などで訪問した国々は30数カ国。空いた時間で、現地の大学キャンパス、図書館、そして、美術館を観てきた。私が言うアートは、広い意味である。いわゆるリベラルアーツ。芸術、音楽、哲学など。アートとサイエンスに共通する大切なこと。それは、感性。わかりやすく言えば、1+1=2ではなく、2.1や3ということもありうるという発想の柔軟性を生み出す感覚のようなもの。モノマネでは、成り立たないアートとサイエンス。海外の有名な大学のキャンパスに多くの彫刻があり、図書館はまるで美術館。その中でたたずんだり、読書したりしている学生達。彼らは、そのような環境から無意識に得ているものがある。それが感性。答えがわかっている問いに対して、いかに早く、正確に答えるのではない。とんでもない自由な発想をし、ゼロからイチを生み出すセンス。それが、どんな環境でもサバイバルできるために必要な力である。そんなアートとサイエンスに溢れるキャンパスを作りたいと長年、思い続けていた。事あるごとに、舘さんの絵画、元学部長でもあった加瀬先生の絵画などをキャンパスの至る所に展示してきたが、一気に加速したのが、フェルメール・リクリエイト全37作品(額縁は可及的に本物と同じ作品)の寄贈であった。あつまるHDの前社長の故 島田様からの寄贈であった。2019年12月にご家族と一緒に会食をし、その際に、アートとサイエンスに溢れるキャンパスをという、私のビジョンを熱く語っていたら、ぜひ協力したいという思いがけない、大変有り難い申し出があった。早速、翌週には、会社を訪ね、実物を見せていただいた(熊本地震以降、社内に展示する事なく、倉庫に眠ったままだった)。子供達にも本物(フェルメールが描いた直後の絵を科学的に再現)を観せて欲しい。ゆえに、飾る場所を1箇所にし、分散させないように展示することが寄贈の条件であった。幸いにも、その数ヶ月後に新設されることになっていた共同研究棟の1、2階の壁に飾ることをお約束した。そして、それが実現した。実験室から出てきたら、会議が終わったら、そして、講義中に、目の前に、フェルメール絵画という。。それ以来、多くの訪問者をお迎えした。私もフェルメールの解説本を4冊購入し、展示前に説明ができるように熟読した。さらに、美術館長や芸術家達の訪問の際に同伴し、彼らの作品に対する解説を聞く貴重な機会があった。

 

以上のような背景があった上で、芸術家でもない私なりのフェルメール解説を、本ブログにおいて、時々紹介していきたい。島田社長は、寄贈していただいた一年後に、大変悲しいことに、不幸な事故で亡くなられた。島田社長のフェルメール愛を次世代にしっかりと繋いでいくことが私の使命でもある。

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