2019年10 月 2日 (水)
セリアック病の最新情報セリアック病の最新情報
Cell 2月号から。B3のMegumyのプレゼン。JAMAの8月号に、「Association of Gluten Intake During the First 5 Years of Life With Incidence of Celiac Disease Autoimmunity and Celiac Disease Among Children at Increased Risk.」という論文発表があった。1型糖尿病やセリアック病関連HLA抗原遺伝子型を有する小児6605例を対象に、グルテン摂取量にセリアック病自己免疫やセリアック病との関連があるか多国籍出生コホート前向き観察研究で検討している(TEDDY研究)。この結果から、5歳までにグルテンを高摂取するとセリアック病のリスクが上昇するという。セリアック病の患者はグルテンフリー食を生涯に渡って摂取しないといけないというが、そのメカニズムは何かということを明らかにしたのが、今回、紹介されたCellの論文である。セリアック病では、グルテンを摂取し続けると腸内で慢性炎症が起こり、最終的には絨毛の萎縮により吸収不良を起こし、関連の症状が起こってくる。故に、腸において何が起こっているか。腸管上皮における免疫監視には、組織常在性の腸管上皮細胞間リンパ球(IELs)が関与している。IELsの大部分がαβT細胞とγδT細胞で構成され、今回の論文によると、セリアック病では、γδT細胞が関わっており、γδT細胞の中でも組織型のVδ1+細胞が関与し、かつ炎症性サイトカイン産生が高い性質を持つものに変貌しているという。その性質の変化は、TCR遺伝子再構成によるものであり、その変化は、腸管上皮細胞に発現するブチロフィリン様分子(BTNL3/8)と結合できなくなるγδT細胞Vδ1+となり、正常な免疫応答を維持することができなくなるという。すなわち、γδT細胞Vδ1+の性質の不可逆的な変化が、セリアック病がグルテンフリー食で予防するしか手がない理由かもしれない。。