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2018年4 月 5日 (木)

SEMA3Cシグナルなどと神経芽細胞腫

SEMA3Cシグナルなどと神経芽細胞腫

Cancer Cell 2017の10月号から。Nariのプレゼン。神経芽細胞腫は5歳未満の幼児に発症する交感神経系由来の悪性固形癌(1/50000人、0〜4歳時)であり、主に、交感神経ー副腎に腫瘍形成する。発生初期の神経堤細胞ががん化したものであり、予後の悪い播種性腫瘍として転移が認められるようになることが問題であり、生存率が極端に低くなる。限局性の原発腫瘍から播種性転移へ変わるメカニズムに、SEMA3Cシグナルなどのcohesion/detachmentバランスが関与していることを明らかにしたのが今回の論文。SEMA3Cの発現が低下すると播種性転移に移行しやすくなる。SEMA3Cは、分泌型のタンパク質であり、細胞遊走や軸索運動、腫瘍の浸潤、転移に関与することが知られていた。その受容体は、ニューロピリン、ブレキシンであり、これらの分子が神経芽細胞腫の進行を抑制する薬の探索やテーラーメイド医療にも活用できる研究成果と言える。神経芽細胞腫の病態を推定できる方法を確立している点も有意義である。

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