2017年7 月 6日 (木)
水を感知する味覚受容体水を感知する味覚受容体
Nature Neuroscienceの5月号から。ユリッペのプレゼン。飲水は生体の恒常性を維持するために重要である。口渇が起こるメカニズムは、Nature 2015年に、血液中の水分不足(浸透圧上昇)を脳弓下器官の神経系が感知し、口渇感を感じると報告されていた。ただ、水の感知機構は未解明であった。本論文では、舌の味覚受容体のうち、酸味を感知する受容体(PKD2L1陽性味覚受容体)が水を感知していることが明らかになった。そのメカニズムは、唾液中のHCO3-が水によって洗われると代替的に産生(味覚受容体に膜上で結合している炭酸脱水素酵素4(CA4))が活性化し、プロトンが産生亢進、pH低下を酸味受容体が感知しているという。水ではなく、人工唾液を使うとこの系は活性化されないという。PKD2L1陽性細胞にロドプシンを発現し、光刺激で酸味受容体を活性化するモデルを作成しており、大変面白い結果を見いだしている。