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2016年5 月16日 (月)

サルコペニアとオートファジー

サルコペニアとオートファジー

Nature 1月号から。テラモンによる紹介。老化現象の一つとして、筋力低下がある。筋肉量が減っていることもその原因となっている。筋肉細胞の基は、筋衛生細胞(骨格筋幹細胞)であり、老化に伴って、静止状態が維持できずに不可逆的な老化状態になっているという。この論文では、若いマウスと老化マウスからの筋衛生細胞を比較した。その結果、老化に伴い、筋衛生細胞のオートファジー活性の低下に伴い、ミトコンドリアにおけるROSが増加し、エピジェネティックな変化によるp16INK4a(細胞老化因子)の発現が増加すること、この現象がヒト筋衛生細胞においても再現できており、ラパマイシンによるオートファジーの活性化により改善することを明らかにしている。ラパマイシンをマウスに投与し、寿命延長作用があったという報告が2009年にされている。その後も、追試する報告があるらしい。神経変性疾患を抑制する作用も報告もある。今回の論文は、このラパマイシンの老化抑制作用(特にサルコペニア抑制)のメカニズムをクリアに証明したところにその意義がある。ラパマイシンは、イースター島のモアイ像の側の放線菌から発見されてきたという。このメッセージはなんだろうか。副作用がなければ、ラパマイシンにより、健康寿命を延ばすことができそうである。老化してしまった筋衛生細胞もラパマイシンにより復活できることも魅力である。2013年の頃の知見を基にしたラパマイシンと老化のブログがあったので紹介します。これまで、本ブログでも、ラパマイシンは、糖尿病性腎症を抑制したり、ワクチン効果を増強したりする論文も紹介してきた。

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