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2015年11 月25日 (水)

膵管腺がんと新たな治療アプローチ

膵管腺がんと新たな治療アプローチ

Nature Med. 9月号から。B3のImai君(別名 Peter)のプレゼン。膵がんのうち、膵管細胞がんが95%を占め、現在でも5年生存率は5%以下という。私の父もそうであった。これまで、クロマチンのリモデリングや修飾を制御する遺伝子変異が、がん細胞において高頻度に起こっていることが報告されていた。クロマチン制御因子のひとつであるBETファミリー分子はMYCやサイトカインの発現を促進し、このBET阻害薬JQ1がヒト扁平上皮癌細胞において効果を示すことが知られていたため、本研究では、まず、膵管がんモデルマウスに対するJQ1単独の効果を調べたが、無効であった。そこで、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬との併用について調べたところ、JQ1とHDAC阻害薬SAHAの併用が最も有効であり、膵管がんモデルマウスの生存率が大幅に上昇したという。その併用効果のターゲット分子は、p57というアポトーシスを担う分子であり、通常はがん細胞においてMycとHDACによって発現が抑制されているが、JQ1とSAHAの併用によりp57発現が増加し、がん細胞のアポトーシスを誘導するという。この併用療法は、膵管がんだけでなく肺がんや他のがんでも有効である可能性が示されている。

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