2015年9 月15日 (火)
乳がんの転移制御に関わる新たなLncRNA乳がんの転移制御に関わる新たなLncRNA
Cancer Cell 3月号から。Kaseda君のNICEプレゼン。細胞質内のNF-kBと相互作用するLong Nonconding RNA (LncRNA )NKILAがIkBのリン酸化を抑制し、乳がんの転移を抑制することを明らかにしたという。このNKILAの3つのヘアピン構造がそれぞれにIkBとの相互作用に重要であり、さらに、このNKILAに対するmiRNA (miR103/107)が存在し、非浸潤性乳がんでは、miR103/107の発現が低く保たれ、NKILAの発現を高く維持し、NFkBの作用が抑制されているが、浸潤性乳がんでは、miR103/107の発現が高く、NKILAが抑制され、NFkBの活性化状態が維持されているという。さらに、面白いことに本論文に対して追加報告された研究成果では、NKILAに対応するセンス鎖からできるmRNAであるPMEPA1から翻訳されるTMEPA1(乳がん細胞の増殖や転移を促進する分子)の発現をNKILAが抑制している可能性も示唆されており、今後の展開が楽しみである。このNKILAの慢性炎症における機能も今後報告されていくだろう。