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2015年9 月14日 (月)

アルツハイマー病 IL-10

アルツハイマー病 IL-10

Neuron 2月号から。Imai君のデビューセミナー。脳内炎症とアルツハイマー病態の関係については種々の説がある。この論文では、抗炎症性サイトカインであるTGF-βとIL-10のうち、IL-10に着目した。IL-10欠損によりアミロイド沈着が減り、ミクログリアのAβの貪食能が活性化されるという。アポEが減少し、Aβの貪食能を促進するという。アルツハイマー患者の脳の海馬において、IL-10Rαの発現量は増加しており、IL-10の下流シグナル分子Jak1やSTAT3などの量は増加していたという。著者らの考えは、IL-10欠損による脳内炎症の促進は、アルツハイマー病に対する一般的な抗炎症療法よりも有効ではないかという。同じ雑誌に、IL-10の高発現マウスはアルツハイマー病を悪化させるという報告もあった。アルツハイマー病の病態の進行過程のどのタイミングで脳内炎症を抑制するか、活性化するかで真逆の結果が得られる可能性がある。

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