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2014年7 月 1日 (火)

MMP-12:新たな抗ウイルス薬のターゲット

MMP-12:新たな抗ウイルス薬のターゲット

Nature Med. 4月号から。D2のTasaki君のプレゼン。同号のNews & Viewsにも「A protean protease: MMP-12 fights viruses as a protease and a transcription factor」というタイトルで、以下の図とともにクローズアップされている話題。

Nm.3561-F1

 

MMP-12という細胞外マトリックス分解酵素が転写因子としても作用し、初期感染時には、IkBαの転写を促すことによりインターフェロンαの分泌を増やし、抗ウイルス作用を示すこと、また、MMP-12は感染後期の過剰産生されたインターフェロンαを分解するという。細胞膜を透過し得ないMMP-12酵素活性阻害薬が抗ウイルス免疫を増強するという。MMP-3ならびにMMP-14も転写因子としての作用があることは知られていたという。MMP-12のノックアウトマウスにおいては、ウイルス感染に対する免疫不全が見られるという。MMP-12の酵素活性を抑制するが、転写因子としての作用は抑制しないという薬は有用であるが、DNAとの相互作用する部位は酵素活性ドメインであることから、もし、MMP-12酵素活性阻害薬が細胞膜を通過し、核内に移行するとインターフェロンαの分泌を抑制してしまう可能性があるという。今後、IkBαによるインターフェロンαの分泌抑制機序、MMP-12の核移行メカなどの解明が待たれる。

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