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2014年7 月 2日 (水)

腫瘍内皮バリアとFasL

腫瘍内皮バリアとFasL

Nature Med. 5月号から。Okita君のプレゼン。がん組織の血管内皮特異的にFasLが発現しており、ガン免疫の主役であるCD8+T細胞のアポトーシスを誘導し、がん細胞へのアクセスをブロックしているという。腫瘍内の内皮細胞でFasLの発現が上昇しているメカは、がん細胞から分泌されたVEGF、IL10、PGE2(COX1の高発現による)の相乗作用という。この論文では、NSAIDsとVEGF抗体の併用後、あるいは、FasL抗体の処置後、活性化T細胞による免疫療法を実施するとガンに対する生存率が上昇することが明確に示されている。効果としてはNSAIDsとVEGF抗体の併用の方がより有効である。これは、腫瘍血管の増生を抑制するとともに、できてしまった血管の内皮細胞におけるFasLの発現上昇を抑制することによるdual effectによるのであろう。免疫療法をより効果的するためには腫瘍血管の内皮細胞環境を変えないといけないことを示している。下図は、同じ研究グループがCancer Discoveryに発表したreviewから取って来たものである。

 

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