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2014年5 月13日 (火)

糖尿病の新たな創薬ターゲット分子

糖尿病の新たな創薬ターゲット分子

Nature Med. 4月号から、M1のOkita君によるプレゼン。MST-1 (Mammalian sterile 20-like kinase-1)の阻害薬ができれば、糖尿病時のβ細胞のアポトーシスと機能不全を劇的に抑制できるということを明らかにした画期的な論文。MST-1はユビキタスに発現するセリンスレオニンキナーゼであり、ストレス応答やアポトーシスに関与することは知られていた。MST-1の全身ノックアウトでは表現型は何も現れないが、高脂肪食やストレストゾトシンによる2型あるいは1型糖尿病モデルにおいて劇的に糖尿病症状を改善する。これは、β細胞特異的なノックアウトでも同様であった。MST-1の強制発現はβ細胞において、ミトコンドリア依存的なアポトーシスを促進し、かつPDX-1の発現を抑制し、β細胞の機能をも低下させるという。従って、MST-1が酵素でもあることから、阻害薬の開発は容易であり、創薬ターゲットとして面白い。マウスにしか効かない創薬ターゲットではないことを祈りたい。糖尿病患者由来の膵島においてMST-1が活性化されているデータもあることから期待したい。

  Nm-1.3482-F6

 

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