2013年7 月17日 (水)
早老を抑制できるか!?早老を抑制できるか!?
Scienceの6月号から。Kameちゃんの紹介。イソプレニルシステインにメチル基を転移する酵素 (ICMT) の発現減少により早老症モデルマウスの劇的な改善が認められたという画期的な論文。早老症は若くして急速に老化が進行する疾患の総称であり、ウエルナー症候群、コケイン症候群、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群 (HGPS)などを含む。今回はHGPSに注目して研究をしている。その原因はLaminAの欠失あるいは未成熟なLaminAの産生であり(これにより、核奇形が起こり、DNA傷害に対する修復機構の破綻やゲノムDNAの安定性が低下し、急速な細胞・個体の老化が起こるという)、LaminAが成熟していく過程で、ICMTが関与するが、この研究成果の面白さは、ICMTの阻害はLaminAのある中間生成物が増え、これが、AKT-mTORシグナルを活性化し、細胞の増殖等(若返り)を促すというところ。ICMTをターゲットにした創薬研究が今後進んでいくだろうが、今回の論文は遺伝子操作により全身性に影響を与えたため劇的な効果が現れており、もし、薬で対応しようとすると、全身に分布する薬剤が求められるため、壁が大きいかもしれない。ただ、AKTの活性化は、バイオメトロノームでも起こることから、全身に特定の微弱電流を流してあげるとよいかもーー。以前、mTOR阻害薬であるラパマイシンが有用であることが示唆されていたが、今回の評価系では無効であったという。