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2013年5 月 8日 (水)

サーカディアンリズム創薬が可能!?

サーカディアンリズム創薬が可能!?

今朝は、Cell Metabolism 2月号に連報で明らかになった研究成果を薬学科5年のMoriuchi-が紹介。サーカディアンリズムの異常により、生活習慣病等、種々の疾患発症・悪化が起こることがわかっていた。サーカディアンリズムは光や食事によって影響を受ける。昼夜逆転や不規則な食事が体調を狂わせるのである。これまで、光を介した調節メカニズムはかなり明らかになっていたが、食事(血中グルコースの上昇)による詳細な調節メカニズムは明らかになっていなかった。サーカディアンリズムに関わる代表的な分子はBMAL1、CLOCKであり、その下流分子であるPER、CRYである。今回の論文で明らかになったことは、細胞内に取り込まれるグルコースが増えてくると、ヘキソサミン合成経路を介してPERがO型糖鎖修飾を受け、PERの(カゼインキナーゼによる)リン酸化を競合的に阻害し、PER/CRYによるBMAL1/CLOCKの転写活性の抑制が解除される(BMAL/CLOCKによる転写調節が亢進)。さらに、CLOCKもO型糖鎖修飾をされると、ユビキチン化を受けれなくなりタンパク質分解を受けない。したがって、BMAL1/CLOCKの核内量が増える。したがって、PERとCLOCKの糖鎖修飾により、BMAL/CLOCKによる遺伝子発現調節が活性化され、発現調節リズムが明確になる。一定のリズムで遺伝子発現が高くなったり低くなったりすることが生体の機能を維持する、いわゆる健康を維持するために重要である。二つの異なるグループによる研究成果により、間食や夜食がよくないという詳細な分子メカニズムが明らかになった。創薬という観点からは、病態を考慮しながら、O型糖鎖修飾を担う糖転移酵素や糖分解酵素が創薬ターゲット分子になりうるのだろうか。しっかり勉強していることを伺い知ることが出来る、情報を良く整理した良い朝ゼミだった。Moriuchi-は来月から実務実習が始まる。実習中も研究マインドを忘れずに頑張るだろう。期待している。

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