2012年10 月18日 (木)
副作用が無い、新規インクレチン様抗糖尿病薬の開発へ!?副作用が無い、新規インクレチン様抗糖尿病薬の開発へ!?
Cell Metabolism 5月号からNormanの紹介。インクレチン製剤は高血糖時のみインスリンの分泌を促し、低血糖を起こしにくい有用な医薬品であるが、胃内容物排出抑制や心拍数の増加と言う副作用も報告されている。今回の論文では、TLQP-21というVGF(プロVGFが細胞内で酵素切断されて生成される。血管という意味のVではない紛らわしい命名がされている分子)由来ペプチドがインクレチン受容体を介さずに、インクレチンと同様の血糖低下作用およびβ細胞死の抑制作用を示すため、上記のような副作用がないインクレチン様抗糖尿病薬が可能であることが示された。in vivoでも作用が副作用無く明確に認められている。ペプチドのため、腹腔内投与で行われているが、近い将来、TLQP-21の受容体(Gs-カップリングの未知の受容体)に対する低分子化合物が新しい抗糖尿病薬として開発されてくる可能性が高い。投与量が高いことが気になるが楽しみである。以前より、糖尿病モデルで発現が低下している転写因子Nkx6.1を過剰発現させるとインクレチンの作用を増強することは報告されていたが、この論文で、プロVGFがNkx6.1により発現調節されていることもわかっている。TLQP-21は中枢での作用は知られていたが、今回の末梢投与との作用態度とは異なっている。