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2012年6 月 7日 (木)

乳ガンの創薬ターゲット分子!?悪性度マーカー分子!

乳ガンの創薬ターゲット分子!?悪性度マーカー分子!

Cell 5月号からShoちゃん。E3 ligaseが創薬ターゲット分子になりうることで注目を集めている。乳癌細胞において、Aktというリン酸化酵素が細胞膜へ移行し、糖取り込みトランスポーターであるGlut-1の膜上発現を増加させ、ガン細胞への糖取り込みを促進し、解糖系を活性化し、ガン細胞の生存、増殖を促すという。IGF-1によるE3 ligase TRAF6の活性化がAktのユビキチン化(分解ではなく活性化に働くリジンを)を行い、細胞増殖シグナルを活性化することは知られていた。今回の論文は、乳癌治療薬であるハーセプチンのターゲットであるEGFの受容体を介した経路にはTRAF6は介しておらず、Skp2-SCFというE3 ligase複合体を介してガンの悪化が起こっていることがわかった。大変興味深いことに、Her2陽性ガン患者80名の組織を調べたところ、Skp2の発現が高いと転移や予後不良が明確にみられ、Skp2を抑制すると、ガン細胞の増殖を抑制するだけでなく、ハーセプチンの抗ガン効果を増強し、ガンの劇的な消滅を引き起こすという。Skp2は他のgrowth factorシグナルの下流でも関与するらしい。特定のE3 ligaseをターゲットにしてガン細胞の解糖経路に影響するという新たなガン治療戦略は面白い。

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