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2012年5 月17日 (木)

小胞体からの亜鉛イオンとガン細胞

小胞体からの亜鉛イオンとガン細胞

最近、細胞内の情報伝達物質として亜鉛イオンが注目されている。小胞体に存在する亜鉛トランスポーターZIP7がカゼインキナーゼCK2によりリン酸化されると活性化され、小胞体内の亜鉛イオンが細胞質内へ遊離する。その亜鉛イオンは脱リン酸化酵素を抑制することにより、ガンにおけるチロシンリン酸化酵素活性を上げ,ガンの異常増殖、遊走能亢進に繋がるという。ZIP7を抑制する薬があれば、抗ガン薬になるのではという話。この話は、Science Signalingの2月号に発表され、創薬生命薬科学4年のKameちゃんが紹介した。ガン細胞に亜鉛イオン20μMと亜鉛イオノフォアを処置すると細胞増殖を起こすという。亜鉛イオントランスポーターZIPはヒトでは14種類あるという。一方で、細胞質から細胞外へ、あるいは、細胞質から小胞体へ、亜鉛を輸送する亜鉛トランスポーターZnTも存在し、ファミリーを形成している。これらの亜鉛イオントランスポーターにより、細胞質内の亜鉛イオン濃度を調節しているという。亜鉛イオンは、3000以上のタンパク質の活性に必須であることも知られている。ガン細胞は亜鉛イオン濃度が高いとの報告もあるらしい。in vivoでZIP7を抑制した時にガンがどうなるのかが今後のポイント。CK2の阻害薬は現在、難治性ガンに対して開発中であり、メカニズムのひとつにZIP7が関わっているかも。また、抗ガン薬である5-FUは亜鉛イオンをキレートし、味覚細胞の増殖を抑制し、副作用としての味覚障害を惹起しているということも言われてるらしい。亜鉛イオン研究の今後も楽しみである。

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