2012年2 月14日 (火)
ポドサイト再生ー透析からの脱却ポドサイト再生ー透析からの脱却
今日の朝ゼミは、学部3年のKohei君。Nature Medicineの2012年1月号から。テロメラーゼによる可逆的な脱分化による増殖が、これまで再性能のないと考えられてきたポドサイトに新たな可能性を提起したという画期的論文。透析からの脱却が可能かもという話にも繋がる。ポドサイトは終末分化細胞であり、再生能がないとされていた。しかし、病態時は違うらしい。虚脱性糸球体硬化症(HIV関連腎症、特発性腎症)でポドサイトの増殖がみられ、この増殖性のポドサイトはポドサイトマーカーの発現は低下しているが、再び正常の機能を果たすかは分かっていなかった。この論文の主役はTERT(テロメラーゼ逆転写酵素)。TERTが発現の上昇と腎病態の悪化が密接に関係していることが明らかになり、その下流にWntシグナルがあり、活性化されていることがわかった。さらに、面白いことにTERT異常発現時の病態はWntシグナルの抑制により、ポドサイトが再生することから、虚脱性糸球体硬化症(HIV関連腎症、特発性腎症)が治療可能かもしれないということを提起している。この論文はWntシグナルを抑制するためにWnt inhibitor DKK1をアデノウイルスで遺伝子導入している。ただ、TERTが高発現している限り、常にWntシグナルを抑制されていないといけないが、もし、ポドサイトに再生した後に、TERTの発現が下がれば、治療的な意味は大きい。しかし、全ての慢性腎疾患に適用できる話ではないらしい。
今日の朝ゼミには、この4月からの配属を希望したい創薬生命薬科学科の2年生が見学に来ていた。1年上の先輩がしっかりしたプレゼンをすることが良い教育効果。