PAGE TOP

2012年2 月16日 (木)

アテローム性動脈硬化症に新たなメカ

アテローム性動脈硬化症に新たなメカ

アテローム性動脈硬化症において、動脈硬化巣にマクロファージが滞留してくるメカニズムはわかっていなかったが、神経軸索遊走因子Netrin-1がマクロファージにおいて高発現することが重要であることが今回明らかになった。今年1月号のNature Immunologyからの論文で、Chosaくんが紹介してくれた。Netrin-1は酸化LDLの刺激により、NFkBを介して発現してくる。大量に産生されたNetrin-1は血管平滑筋に発現するneurogeninに作用して、平滑筋の遊走を促すと共に、オートクリン、パラクリン的にマクロファージに作用し、マクロファージの遊走を抑制し、動脈硬化巣における滞留を促すという。血球系Netrin-1を選択的にノックアウトすると動脈硬化巣のプラーク形成が抑制されるという。以前に、Netrin-1が急性炎症時は白血球遊走を抑制し、炎症抑制に働くことは分かっていたが、活性化白血球が関わる慢性炎症時は、Netrin-1の遊走抑制作用は逆に症状の悪化の原因である可能性をこの論文は示唆している。今後、マクロファージや白血球が関わる、様々な慢性炎症におけるNetrin-1の役割に注目していく必要があるかもしれない。面白い。

ご意見メール
clear_both