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2011年10 月17日 (月)

巣状分節性糸球体硬化症:FSGSの原因分子!?

巣状分節性糸球体硬化症:FSGSの原因分子!?

M2のFukuda君のセミナー(Nature Med. 8月号)。巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)は腎糸球体内での巣状化、局所性の糸球体硬化を示し、家族性と特発性がある。高頻度で腎不全に陥るという。原因は糸球体上皮細胞ポドサイトの足場構造の破綻である。腎移植をした場合も再発することが多く、血漿交換により治療ができることから循環血に含まれる因子が重要であろうとされてきた。本論文で注目されている分子は、urokinase-type plasminogen activator receptor (uPAR)の遊離型であるsuPARである。このsuPARが腎移植後再発したFSGS患者の血液中で高いこと、血漿交換治療により低下すること、uPARをノックアウトした腎臓を持つマウスに対してもsuPARによる腎障害が発生すること、suPARの抗体やsuPARの結合部位であるβインテグリンの阻害薬で腎障害が改善することが明らかになった。このことは、suPARを定量することにより,腎移植後の予後の診断が可能になり、また、suPAR抗体療法も可能であるのかもしれない。このsuPARの産生細胞として、炎症細胞が考えられているため産生抑制薬も今後期待されるだろう。

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