2011年6 月 7日 (火)
遺伝子発現の重要な微調整分子遺伝子発現の重要な微調整分子
Natureの5月号から。
遺伝子の基本的な発現は、プロモーターの活性によるが、恒常的な発現を示す遺伝子のプロモーターはシトシンとグアニンが豊富(CpGリッチ)であることは知られている。ほ乳類のCpGの約50−70%がメチル化修飾を受けており、転写(遺伝子発現)が抑制されている。このメチル化、脱メチル化機構の解明は、病気の発症や形態形成のメカニズム解明に繋がることから、関与する分子について盛んに研究が行われている。今回の論文で注目した分子は脱メチル化酵素として機能する可能性をもつTET1。TET1がメチル化されたシトシンをさらに水酸化メチルシトシンにすること、転写抑制分子群をCpGプロモーターの転写開始部位に酵素活性非依存的にリクルートすることを明らかにし、生体の恒常性維持に重要であることが示されている.ほ乳類のような高次構造、高次機能を有する動物においては、この遺伝子発現の微調整は極めて重要だろう。