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2011年4 月21日 (木)

乳癌の薬物治療に光明か?

乳癌の薬物治療に光明か?

Nature Med. 2011年4月号から。Ryo-chinの紹介。

日本人女性の約30人に1人が生涯のうちに罹患するという乳癌。治療薬としてはヒト化モノクローナル抗体であるトラスツマブ(ハーセプチン)が悪性度が高いERBP2陽性乳癌に対して有効であることが知られている。しかし、がん細胞が耐性を獲得し、約1年で効果が失われてしまう場合があるという。現在まで、その耐性のメカニズムには大きく2つあることが明らかにされてきた。今回の論文は、SRCというチロシンリン酸化酵素が耐性に関わる共通の重要な因子であることを明らかにし、その阻害薬を併用投与するとトラスツマブ耐性のERBP2陽性乳癌がトラスツマブに対して感受性を示すようになることがわかった。Fig.6cのin vivoデータはかなりインパクトがある。SRC阻害薬であるsaracatinibはPhase IIの臨床試験中であるという。併用による臨床試験の結果が大変楽しみである。

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