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2010年10 月 5日 (火)

甲状腺ホルモンの作用点

甲状腺ホルモンの作用点

 甲状腺機能が亢進すると、エネルギー消費の亢進による多食、体重減少、発汗などの症状が現れる。今朝、桃っちが紹介したNature Med. 9月号の論文が、「増加した甲状腺ホルモンT3が視床下部に作用し、AMPKを抑制することにより、視床下部の脂肪酸合成が活性化され、それによって、交感神経系が活性化し、褐色脂肪細胞のアドレナリンβ3受容体を介して、エネルギー消費を増し、体重減少を引き起こしている」という機構を明らかにした。甲状腺ホルモンT3が末梢組織に直接作用するという定説に反する知見であり、大変面白い。

 

 ただ、β3アゴニストが肥満治療薬になるのではと一時期、騒がれていたが、結局、開発された薬、全てうまくいかなかったらしい。ということは、上記の論文の結果はどういうふうに解釈できるか? でも、創薬の面白い所であるが、ヒト膀胱平滑筋に存在するβ受容体の97%がβ3であり、膀胱の弛緩に関わっていることが判明して以来、β3アゴニストが過活動膀胱の治療薬として試験され,遂に、今年の6月にアステラス製薬からミラベグロンというβ3アゴニストが過活動膀胱による頻尿、尿意切迫感、切迫性尿失禁を効能効果として発売された。日本では40歳以上で8人に1人が潜在患者であるという。

 

 

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