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2010年7 月13日 (火)

カロリー制限とCKD

カロリー制限とCKD

 今朝のセミナーは学部3年のKoyama君。3年生とは思えないくらい落ち着いた良いプレゼンでした.内容(JCI,4月号)は、カロリー制限がSirt1という分子を活性化することで加齢による慢性腎臓病を予防するという話。カロリー制限とは自由に摂取するカロリーの60-80%のカロリーを摂取するということ。以前より、カロリー制限は、寿命延長や老化防止などに有効であることは科学的に証明され、特に、昨年のScienceに掲載されたアカゲザルのデータには大変驚き、食べ放題に行くのは辞めようと思ったぐらいである。今回の論文では、腎臓におけるオートファジーやアポトーシスを制御する分子の発現変動を詳細に調べているが、特に、Sirt1のヘテロノックアウトマウスにおいて、カロリー制限による腎保護効果が低下していた点が極めて重要であると思う.慢性腎臓病(CKD)の予防は透析への移行を減らすという観点からも積極的に取り組む課題である.ここ数十年の間に、洋食を提供するファミレスだけでなくバイキング形式や食い放題の店が多くなり、身近にカロリーを大量に摂取しやすい環境が拡大している。この世の中を変えない限り、あるいは、消費者が、支払い代金の元を取ろうと思い、食べれるだけ食べるというような気持ちを変えない限り、糖尿病やCKDは増えていく一方ではないだろうかと思う。私の田舎の叔母たちは皆、90歳を迎えようとしても心身ともに元気なのは自分の畑や山で取れるものだけを食べて生活してきたからではないだろうか。たとえば、エネルギー代謝が低下してくる30歳以降は、食い放題の店は出入り禁止という政令を出すだけでも、国民を守ることにならないだろうか。また、食い放題の店によく通う人とそうでない人の健康調査をすると健康状態に明確な差異が出てくるのではないだろうか。

 

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