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2010年4 月20日 (火)

異常なきれい好きは傷の治りが遅い?

異常なきれい好きは傷の治りが遅い?

今朝のセミナーは、D2のShota君が担当でした。ちょっと古いけど、昨年12月のNature Med.の論文。皮膚が損傷すると破壊された細胞からRNAが遊離してくる。それをTLR3が認識して、ケラチノサイトにおいてIL-6やTNFalphaの発現を促し、炎症を悪化させるという。しかし、皮膚に常在するブドウ球菌は、TLR2の刺激を介して、TLR3のシグナル抑制分子TRAF-1の発現を上げて、上記の炎症を抑制するという。この抑制作用は、表皮ブドウ球菌由来のD-アラニン含有LTA(TLR2リガンド)に特異的な反応と言うから面白い。マウスを無菌下で飼育していると表皮ブドウ球菌がいないためケラチノサイトにおけるTRAF-1がほとんど発現していないという。この研究成果を日常に単純にあてはめて考えると、外で怪我をした時は,TLR3を介する炎症だけでなく,大腸菌などによるTLR4を介する炎症増悪反応が起きるため、傷口を水洗し、消毒する意味は充分ある。しかし、抗生物質の局所あるいは全身投与をし、常在菌まで完全に殺してしまうと傷の治癒遅延が起こるかもしれないーー。我々は,腸の皮膚の常在菌の御加護を受けているのか。Shota君の自信を持ったプレゼンは良かったです。

 

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