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2017年6 月28日 (水)

糖尿病性腎症とPKM2

糖尿病性腎症とPKM2

Nature Med. 6月号から。Imai君のプレゼン。糖尿病の合併症として、腎症は糖尿病患者の約12%で発症する。残りの88%の糖尿病患者はなぜ発症しないのか。その疑問に答えたかもしれない重要な論文。88%の患者には腎症の発症を抑制する内在性の保護因子が存在することを予測。患者の腎糸球体におけるプロテオミクスにより、腎症の発症が見られない患者でピルビン酸キナーゼM2(PKM2)の発現が上昇し、また、重症の腎症患者でPK活性が低下していること、スルフェニル化PKM2(PKM2の4量体化が抑制され、活性が低下)量が増加すること、これは、高血糖による酸化ストレスにより起こることがわかり、ポドサイトにおけるPKM2欠損マウスでは、糖尿病におけるミトコンドリア機能不全、糸球体障害を悪化させるという。PKM2の4量体安定化作用を有するTEPP-46(元々、がん抑制薬としてみつかっていた。Nature Chem. Biol. 2012)の投与により、PKM2の活性化が起こり、糖尿病による糸球体病変を改善したという。糖尿病の合併症全般の予防に関する研究として、極めて重要な論文と思う。

 

 

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