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2016年7 月 6日 (水)

卵巣がんにおける免疫療法とシスプラチン併用療法の有用

卵巣がんにおける免疫療法とシスプラチン併用療法の有用

Cell 5月号から。Shotaのプレゼン。がん治療における抗がん剤耐性を重要な課題である。本研究では、細胞レベルではあるが、卵巣がん細胞におけるシスプラチン耐性の新しいメカニズムを明らかにしている。卵巣がん組織には、がん細胞だけではなく、繊維芽細胞も存在する。繊維芽細胞には、xCTというcystineを取り込むトランスポーターが発現している。このxCTにより、cystineは取り込まれ、cysteine、GSHを増加させる。cysteineとGSHは細胞外に放出され、隣接したがん細胞に取り込まれる。その結果、がん細胞において、GSHが極めて高くなり、シスプラチン耐性を誘発する。ところが、免疫療法により、Effector T細胞が、がん細胞を直接攻撃するために集まってくると、Effector T細胞から産生されたインターフェロンγが繊維芽細胞に作用し、xCTの発現を抑制するだけでなく、細胞外のGSHを分解する酵素であるGGT5の発現を上げることにより、結果的にがん細胞のGSH量が減少し、シスプラチン耐性発現を抑制するという。あくまでも細胞レベルであるため、体内でも同様なことが起こっているか、卵巣がん細胞以外でも同様であるか等、今後の検証が楽しみである。

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