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2015年9 月26日 (土)

アルポート症候群の国際ワークショップ

アルポート症候群の国際ワークショップ

今、ドイツのゲッティンゲンで行なわれている国際ワークショップに参加している。フランクフルトから列車で2時間くらい北にある都市であり、静かな田舎町である。世界から約100名の専門家プラス患者会代表が2日半、会場に一日中、缶詰で、基礎から臨床まで、密にdiscussion。企業からの参加も可能にし、秘密保持の中、長時間に渡り、一つ一つのポスターについても皆で議論する。貴重な経験である。日本からは我々と小児科の専門家の2つグループのみ。我々のp53論文も講演の中で紹介された。ACE阻害薬、ARB薬の併用により、血圧降下作用とは関係ない作用で、病態初期において、臨床的に有用であること(進行を10年遅らせる)、古い抗高血圧薬であるヒドララジンが、血圧降下作用を示さない低用量で、進行抑制作用を示すこと等が発表されている。皆、熱く真剣に討論し、アルポート患者を助けるために、世界から集まっている。また、関連分野の情報収集のために、CFで遺伝子治療をしている研究者や他の遺伝性疾患、ECM研究者などの招待講演も行われている。アルポート患者が日本にも300家系以上はいるということ伺った。日本でも研究をしないといけない重要な遺伝性疾患であることを強く認識した。また、我々がこれまでCFやFAP研究で培って来た知識や技術を活かし、貢献できる分野であることを再認識できた。腎症だけでなくhearing loss(性差あり)にも注目すべきである。日本にはまだ患者会がないが、他国にはすでに患者会があり、子孫のためにもしっかり活動しているようだ。

  様々なグループに分かれ、より専門的な、かつ、課題を挙げ討論するが、そこに各国の患者会代表も参加し、自分たちの子供の治療の現状と限界を患者の立場からはっきりと意見を述べる。ゆえに、研究者も患者からの意見に対しても丁寧に相対しながら、議論を進める。公表論文から知ることができない現治療の実情がみえた。大手の製薬企業も6社以上参加し、世界的な流れと注目度も感じた。このような形式のワークショップは患者を救うということを世界中の組織が意思統一するために必要である。ただ、ずっと真剣な討論がずっと続くからか、午後7時頃に終わる討論からの開放感、疲労感が何ともいえない。時差ぼけも加わり、ビールを飲み過ぎ、ホテルに帰る途中、ちょっとよそ見しながら早歩き、暗闇にある標識の支柱に激突し、目の上に痛いタンコブ。このタンコブはお土産になるか。来年の本会は、イグアスの滝で有名な町であるとのこと。行くだけでも2日費やす。遠すぎて、立場上、参加は無理か。。

   明日の昼まであり、夕方にはフランクフルトに移動し、月曜日の昼の便で羽田へ戻る。何よりもの収穫は、大町君がBest presentation award、嘉村さんがYoung Investigator賞を受賞したことである。日頃の努力が国際的にも報われるということは大変励みになることだ。おめでとう。

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神戸大の先生方と共に。

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今回のアワード受賞者達。

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