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2015年7 月 3日 (金)

慢性炎症におけるB細胞由来のペプチドの役割

慢性炎症におけるB細胞由来のペプチドの役割

Nature Med. 5月号から。Tureのプレゼン。アディポネクチンが慢性炎症や自己免疫疾患においても重要な役割をしているのではないかと示唆されていた。この論文においては、炎症時に内皮細胞にT細胞がローリング接着し、ケモカイン刺激に応答して、LFA-1とICAM-1の相互作用やS1P受容体の発現上昇を引き起こすようになるが、その際に、隣接するB細胞のアディポネクチン受容体AdipoR1/2に血液中のアディポネクチンが結合し、PEPITEMというペプチドがB細胞から産生されるという。このPEPITEMは内皮細胞上のカドヘリン15に結合し、S1P (Sphingosin-1-phosphate)合成酵素が活性化され、S1Pが血液中に産生されると、隣接し、接着している活性化T細胞上のS1P受容体に作用し、LFA-1とICAM-1の相互作用が抑制され、T細胞の血管外遊走を抑制するという。このPEPITEMを腹膜炎モデル、サルモネラ菌感染モデル、肝虚血再還流モデル、ぶどう膜炎モデル、シェーグレン症候群モデルに投与すると、炎症組織において、T細胞の遊走が抑制されたという。さらに、I型糖尿病患者や関節リウマチ患者において、血中のPEPITEM濃度が減少していたり、老化が自己免疫疾患の重要なリスクファクターであることを示唆する関連データも示されている。今後、PEPITEMに関する詳細な研究が新たな治療薬の開発に繋がるかもしれないという。

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