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2015年5 月26日 (火)

繊維化を制御する新たな受容体

繊維化を制御する新たな受容体

Nature Med.2月号から。マルちゃんのプレゼン。線維症(肺、肝、腎)や全身性強皮症の治療薬開発において、TGF-βシグナルの暴走を制御することは重要であることは言うまでもない。本論文は、TGF-βのターゲット遺伝子を制御するNR4A1という核内受容体の重要性が示されている。全身性強皮症患者の皮膚のNR4A1のmRNAが上昇していた。将来に検討していくと、TGF-β刺激が長時間つづくとNR4A1遺伝子のヒストン脱アセチル化により発現抑制されるともに、TGF-β刺激時に、AktによりNR4A1がリン酸化されることにより不活性化され、NR4A1によるTGF-βのターゲット遺伝子発現抑制が無くなりコラーゲン合成が増えて線維化が進む。繊維症ではない、通常時は、TGF-β刺激が入るとNR4A1を活性化し、TGF-βのターゲット遺伝子発現を抑制するという。NR4A1アゴニスト Cytosporone Bは繊維化を抑制するという。副作用としては、NR4A1アゴニストの骨格筋における脂肪分解•エネルギー消費促進作用により、線維化患者の体力を消耗することが懸念されている。今後の研究の展開が期待される。このNR4A1のPOCが取れた点で意味がある研究である。

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