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2014年6 月12日 (木)

小胞体ストレスからの生体保護メカ

小胞体ストレスからの生体保護メカ

Cell 3月号から2報をTsureが紹介。我々の体において細胞内の小胞体ストレスが加わると、XBP1のスプライシングが起こり、そのスプライスフォームが転写因子としてGFAT1の発現を促すという。このGFAT1はhexosamine biosynthetic pathwayの律速酵素であり、グルコースからUDP-N-アセチルグルコサミン (UDP-GlcNAc) の生成に関わる。UDP-GlcNAcはタンパク質のN型あるいはO型糖鎖修飾、ERADを介したタンパク質分解、オートファジーの活性化、などなどを介して、細胞をストレスから保護していることが、2報の論文から証明された。大変画期的な研究成果である。GlcNAcの投与でも効果があるという知見もあり、昨日のセミナーの内容も考えあわせると、薬ではなく、食事や環境をうまく活用することにより、病気の予防や緩解が可能になる時代が近い将来やってくるような気がする。この2報の論文が掲載された雑誌の巻頭にレビュー「Sugarcoating ER Stress」があった。その最後の文章は以下の通りである。

”The UPR and the HBP play important roles in neurodegenerative and metabolic diseases. The new studies highlight a physiologically significant mechanistic link between these pathways and could open avenues to new therapeutic approaches. In particular, the protective effects of supplementation with HBP metabolites may represent a promising therapeutic strategy.”

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