PAGE TOP

2012年12 月 5日 (水)

脊髄性筋萎縮症の発症メカ

脊髄性筋萎縮症の発症メカ

今朝はCellの10月号に連報で掲載された同一グループの論文2報分をカメちゃんが紹介した。脊髄性筋萎縮症において欠損している原因タンパク質SMNはRNAのスプライシング酵素の複合体に関わるタンパク質である。SMN欠損が感覚ー運動神経回路のニューロンのコリン作動性神経に特異的に影響を与えること、SMNは極めてマイナーなスプライシングであるU12依存的スプライシングに関わり、SMN欠損によるイントロンのスプライシング異常がstasimonのmRNA成熟に影響を与え、stasimon発現減少によるコリン作動性神経細胞の機能が低下するという。このstasimonは、神経細胞のゴルジ膜上に発現する小胞輸送タンパク質であることは報告があったが、詳細な機能は不明であるという。現在、アメリカでは、4-aminopyridineが多発性硬化症の治療に使えるということで臨床応用されている(Acorda Therapeutics社は2010年1月22日、同社が開発した持続性の4アミノピリジン製剤(AMPYRA錠、一般名dalfampridine)が多発性硬化症の歩行速度改善を目的とした治療薬として米国食品医薬品局(FDA)に認可されたと発表した)。

Walking better matters. AMPYRA® (dalfampridine) is the only medication shown in two clinical trials to improve walking in people with multiple sclerosis (MS). AMPYRA improved walking in significantly more people with MS than placebo (sugar pill) in two clinical trials (34.8% vs. 8.3% and 42.9% vs. 9.3%).

 

Lambert-Eaton筋無力症候群による筋力低下の改善に3,4-diaminopyridineも臨床適用しようとしている。昔、我々は、サーファクタント分泌を促進する新たな化合物としてアミノピリジンを報告した。当時はこのような化合物は試薬としての認識しかなかった。人に投与できるとは思ってもみなかった。

ご意見メール
clear_both