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2011年5 月11日 (水)

偽プロテアーゼの役割

偽プロテアーゼの役割

Cell 4月号から、タンパク質の細胞内運命を決定する新たな分子を提起した論文をShoチャンが紹介した.Rhomboidという、ゴルジ体膜に存在するプロテアーゼは、代表的な成長因子であるEGFの前駆体に作用し、EGFを遊離させ、細胞外に分泌させる。Rhomboidが有するプロテアーゼ活性を持たず、新たにIRHDというドメインを有するiRhomという分子が種を超えて存在し、pseudoprotease (偽プロテアーゼ)と言われていたが、その機能は不明であった.今回、明らかになったことは、iRhomが小胞体膜に存在し、EGF前駆体を小胞体関連分解 (ERAD)に向かわせ、結果的にEGFを減少させる。発生の過程で、iRhomの発現が変化するらしく、Rhomboidの作用に影響するという。iRhomの役割は、小胞体における滞留時間を延長させているだけかもしれない。EGF前駆体以外の基質についてもどうなのか興味がある.同グループがヒトガン細胞でRhomboidの発現が高いという報告をEMBO Rep (2011)にしている。結果としてガン細胞からのEGFの産生が高くなると考えるとガン治療薬のターゲットになりうるのでは。Rhomboidの活性阻害薬のスクリーニングの論文もこの4月に報告されている。創薬という観点からもホットな領域になっていくだろう。

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