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2010年12 月22日 (水)

効率的な賢さよりも素直な貪欲さ

効率的な賢さよりも素直な貪欲さ

今、研究の現場で求められている人材とはを考える。

既知の知識で説明できるような研究をやるのか、それとも、誰も想定しなかった、びっくりするような新しい事実を見いだす研究をやるのか。

前者は、実験もルーチン、論文作成も容易、実績も上げやすい。後者は、既知の事実にとらわれず、ひたすら実験を進める中で、ストーリーにあわないデータを無視するというのではなく、真実は何かという視点で、ストーリーにあわないデータを素直に純朴に見つめ、検証しつつ新たな仮説を提唱していく。後者は、実験手法も工夫が必要。引用できる論文が少なく論文構成も難しい。したがって、そのような研究だけでは実績も上がりにくい。前者は、ソフト,ハード、資金が揃うラボが競争的にやればよい。そうではないラボは、誰が先に報告するかというような競争的な研究はやることはない。後者は、あくまでも最終ゴールの設定を大きく明確なものにした上で、貧しい環境だからこそ、昼夜、こつこつとひたすら実験を進める中で、ネガティブもポジティブだという視点で、真実であるひとつひとつのデータを大切にしながら最終ゴールへの近道を探るというもの。製薬会社の研究所にいる、将来の創薬産業を支える若手の研究者には、前者がやれる人は多いというが後者のタイプが少ないという.大学も論文実績重視の選考からか前者のタイプが多いように思う。研究を、単なる実績を積み上げる職業(飯を食っていくための職業)と考えるのではなく.真実を見いだすという快楽を追求する本能的行動として研究を行なえる若手研究者が今求められている.来春、就職戦線がスタートするが、製薬企業に就職するのを安定志向で望むのではなく、自らが企業を支えるだけの仕事にチャレンジするのだという気持ちで望むべきである。

 

今日は、エーザイのMuramoto君のドク論発表会であった。私が修士2年の時に4年生で、私に直接ついていた後輩である。発表内容もレベルが高く、質疑も最先端を感じさせるレベルであった.このような後輩がいることを大変嬉しく思った.また、企業に行きたいという熊薬の学生達の目標にもなったと思う。現在、製薬企業はどこも将来に不安を持っている。企業がつぶれようが、合併吸収されようが、個人として生きていけるだけの力を有していることが極めて重要。現在、Muramoto君は海外出張が極めて多い。臨床開発は全て海外。そのような中で、今回の博士号はさらなる活躍に大きく貢献しうるだろう。

 

 

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