2010年11 月17日 (水)
肺炎とカルジオリピン肺炎とカルジオリピン
Nature Med. 9月号からM1のMikiちゃんが紹介してくれた論文は、肺炎の重篤度を決める分子としてカルジオリピンがあり、この分子の肺胞腔から組織への取り込みに脂質ポンプであるAtp8b1が関わっていることを明らかにしたもの.肺胞腔中のカルジオリピンをトラップするペプチドを投与すると肺炎が抑制される。このカルジオリピンは細菌細胞壁成分であるが、ほ乳類も産生しうることがわかり、肺サーファクタントの活性を抑制するだけでなく、上皮細胞のアポトーシスも誘導するという。肺炎患者の肺洗浄液に多く存在するという。治療的にはAtp8b1の発現を増加させるのは難しいので、カルジオリピンのヒト型モノクロ抗体を吸入するということか。中々難しい。それにしてもほ乳類でカルジオリピンが存在するという生理的意義、役割は何であろうか。細菌が肺に感染した時に発現が高くなり、細菌の悪さのお手伝いするという。長い長い進化の過程で、細菌がミトコンドリアとして入りこむ際に持ち込まれた、細菌側の仕掛けた(隠しておいた)武器かもしれないと考えると興味が引かれる。
昨日は、セレンディップ研究所の山津社長と新澤さんが熊本に訪ねてきてくれた。大変、楽しい話が沢山できた.私がエーザイに入社してからのおつきあいですので、もう25年になる。銀婚式ですね。人と人との出会いがあり、その付き合いは、短いもの、長く続くもの、様々である.その長さの決定因子は何だろうか。うまく表せないが「空気の色」が決定因子ではないだろうか。空気には無限に様々な色があるのではと思う。年齢や趣味や仕事内容はまったく関係なく、お互いが感じる、呼吸する空気の色が同じ、あるいは極めて近い時、付き合いが長く続くのではないだろうか。同様に、ひとつの考え方として、真にコミュニーケーションに長けた人は、相手が好む空気の色が見え、カメレオンのように色を同調させうるのであろう.自分の色にこだわるのも良いが、カメレオンの方が、人生、悩まず楽しめそう.