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2010年7 月 1日 (木)

牛小屋生活と喘息

牛小屋生活と喘息

小さい頃、両親の実家に里帰りすると、民家の隣には牛小屋があり、そこで、餌を与えたり、さわって遊んだりしたものだった。それがもしかしたら喘息の予防に繋がっていたのかもしれないというのが、今回の論文(JEM 2009, Allergy 2010)。幼少期の喘息はTh2優位のI型アレルギーが関与しているというが、近代化された日本において急増した喘息は大気汚染や生活環境、食環境の変化が原因ではないかと考えられてきた.最近、牛小屋の中から採菌したacinetobacter lwoffii F78 という種の菌が幼少期の喘息を予防する効果があるという。また、面白いことに、妊娠マウスにもこの菌を与えておくと、子供の喘息発症を予防するという.すなわち、赤ちゃんを無菌的な環境で育てないようにするだけでなく、妊婦も農作業をするなど雑菌に触れる環境で生活することが必要ではないかという。これを臨床試験で実証することは、赤ちゃんや妊婦が対象になるため不可能であろう。日本の昔の生活を取り戻すと、多くの病気の発症は昔なみになり、免疫が低下した人の感染症だけをケアしておけばよくなるのではないだろうか。逼迫している保健財政を救う道は「昔ながらの生活」かもしれない。


OBからの追加情報:1997年に、ツベルクリン反応の陰性児童の増加とアレルギー児童の増加に相関があることがScience に発表され、その一因として日本が清潔になったことが示されていたそうです。

The inverse association between tuberculin responses and atopic disorder.


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