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2009年1 月27日 (火)

バイオメトロノーム四方山話(1)

バイオメトロノーム四方山話(1)

 ようやく昨年末に論文を公表できた.糖尿病で見られるインスリンが効かないという病態を改善する効果が、微弱パルス電流とマイルドな温熱刺激の併用で認められたという知見.ScienceやNature Med.から始まり,reviewまで行きながらも壁にぶち当たり、最終的にPLoS ONEに受理された(一部のデータはJ.Pharmacol.Sci.にて公表).PLoS ONEのreviewでも言われたのは、体の中を微弱な電流がきちっと流れているかを示しなさいということ。これは、大学発ベンチャー事業に申請した時の面接でも指摘された.現在の工学技術をもっても、このわずかな電流が体内を流れている様子を検出することは無理であるのにcrying(ただ、本学工学部の先生と検討を始める)。本研究室で見いだした特定条件の微弱パルス電流は、筋肉を収縮させるレベルの強い刺激ではなく、世間一般の電気刺激による健康器具とは一線を画す。本研究知見を色々な学会や講演会で話をしても、一般の健康器具とは全く違うものであることを理解させるのに一苦労。ただ、きちっとデータを理解できる方々からは驚きと賞賛の言葉を頂けたのが救いだった.
 細胞やマウスを使った基礎的な効果の裏付けや分子メカニズムのデータまでとり、レビュー付き国際誌に公表し、かつ、共同研究者の代謝内科の先生方が実施している臨床試験での有効性を示そうという健康機器はないだけに今後の世間の反応に期待したい.国際的なビジネス展開もPLoS ONEに掲載された論文を活用すれば容易である.また、微弱電流の生体に対する影響は、新しい基礎研究分野としても大変面白い。究極の予防医療に発展する気配を感じる.つづく。soon

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