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2018年9 月21日 (金)

コハク酸は脂肪細胞における熱産生を促進

コハク酸は脂肪細胞における熱産生を促進

Nature vol.560から。ハルキャンのプレゼン。寒冷刺激は体内のエネルギー消費を促す刺激であり、交感神経系の活性化を通して、β3受容体刺激を介している可能性が示されていたから、β3受容体アゴニストが痩せ薬として期待されたが、臨床試験では有用性が認められなかった。そこで、寒冷刺激が交感神経系非依存的経路で、褐色脂肪細胞を活性化している可能性が考えられた。寒冷刺激時に、震えた筋肉から産生されたコハク酸は褐色脂肪細胞特異的(SLCトランスポーター)に取り込まれ、ミトコンドリア中でフマル酸に代謝される際に発生するROSによりUCP-1を活性化し、熱産生を上昇させるという。色々な示唆を与える研究成果である。

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2018年9 月20日 (木)

寒冷刺激による精子のepigenetic変化が子供の熱産生を促す

寒冷刺激による精子のepigenetic変化が子供の熱産生を促す

Nature Med. 7月号から。父マウスと母マウスを1週間8℃で寒冷刺激すると、父マウスを刺激した時のみ子マウスの褐色脂肪細胞が多くなり、熱産性能が向上し、インスリン抵抗性の改善や白色脂肪蓄積の現象が見られたという論文。そのメカニズムには精子のエピジェネティック変化が関わっているという。人においても寒い時期に親が妊娠した子供は、褐色脂肪の蓄積が多く、成人でも寒い時期に親が妊娠した場合は、活性化褐色脂肪を持つ人の割合が多かったという。人にできるような事実であれば、面白い。健康政策にも関われる可能性はあるのだろうか。

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2018年9 月11日 (火)

ALL白血病細胞が中枢へ転移するメカと抑制薬

ALL白血病細胞が中枢へ転移するメカと抑制薬

Nature 8月号から。Misatoちゃんのプレゼン。固形がんの脳転移の多くが脳実質にみられる一方、急性リンパ性白血病 (ALL) の転移は軟髄膜領域においてみられ、稀な現象であること、Idelalisib (PI3Kδ阻害薬) はALLマウスモデルのCNS転移を抑制することは知られていた。しかし、IdelalisibはBBBを通過できず、ALL細胞の増殖能など直接的な作用はないことからメカニズムは不明であった。Idelalisibはα6 integrin発現を抑制する。α6 integrinは、laminin陽性の脳微小血管と相互作用する。ゆえに、ALL細胞は骨髄とくも膜下腔を直接通過する血管(基底膜のlaminin)に沿ってCNSに侵入し、この現象は髄液内のケモカイン (CXCL12) により誘引されているという。ただ、血管腔内の血液を介しない、血管の外側を介した浸潤メカニズムがイメージがあまり湧きにくい。臨床においてもα6 integrin発現が高いALL細胞はCNS転移能が高いという。IdelalisibはCLLの治療薬としてのFDA認可を受けている薬であるが、今後、ALLの治療薬との併用薬として重要な位置を占めるかもしれない。

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2018年8 月 9日 (木)

アルコール依存の分子メカニズム

アルコール依存の分子メカニズム

Science 6月号から。Johnのプレゼン。アルコール依存症は脳内報酬系(腹側被蓋野を中心に投射される神経ネットワーク)が関与していることが知られている。本論文では、アルコール嗜好性を示すラットを選抜し、扁桃体におけるGAT-3(GABAの輸送に関わる)の発現が減少していたことを見出し、この現象は、アルコール依存症の患者でも認められていた。扁桃体のGABA神経の調節異常がアルコール依存に関わっているらしい。

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2018年8 月 2日 (木)

デザイナー細胞による耐性菌感染治療

デザイナー細胞による耐性菌感染治療

Cell 7月号から。Mariのプレゼン。抗生物質に抵抗性を示す耐性菌の感染症は世界的な問題として注目されている。この論文では、自然免疫に関わる分子を付与させた細胞をマイクロカプセルに封入させ、感染部位における診断および治療が可能ないわゆるimmunomimetic designer 細胞が有用であることを証明したもの。術後のMRSA対策として極めて有用なものかもしれない。

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2018年8 月 1日 (水)

喘息に対する新たなターゲット

喘息に対する新たなターゲット

Science 6月号から。喘息病態の悪化に関わる新たなメカニズムを解明した論文。肺のneuroendocrine細胞(PNECs)がアレルギー性の喘息症状の悪化に関わっていることを示している。PNECsの機能はこれまで解明されていなかったが、PNECsがないマウスを作成したところ、正常時は何も影響がないが、PNECsは、CGRP、GABAの関与により、病態形成に関わっているという。これらの分子をターゲットにした新たな治療薬が開発されうるかどうかについては、他の臓器における副作用が考えられることから慎重にすべきかもしれない。

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2018年7 月24日 (火)

細胞表面抗原のサイズとマクロファージの細胞貪食能の関係

細胞表面抗原のサイズとマクロファージの細胞貪食能の関係

Cell 6月号から。Yuya君のプレゼン。マクロファージは、がん免疫の初期反応として重要である。マクロファージはターゲットとなる細胞表面抗原を認識する。本研究では、細胞表面抗原のサイズに応じてマクロファージの細胞貪食能が異なることを明らかにしている。抗原のサイズが大きくなるにつれて、マクロファージ内のITAMのリン酸化が減少することを明らかにした。さらに、抗原が小さいと、脱リン酸化活性を有するCD45が、抗体ーFcγRの複合体の相互作用部位から物理的に排除され、ITAMのリン酸化が維持されること、抗原が大きいとスペースが生まれ、分子が大きいCD45が抗体ーFcγRの複合体の相互作用部位から物理的に排除されないためにITAMリン酸化が抑制されたままで、細胞貪食が起こらないことを証明している。

 

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2018年7 月18日 (水)

聴覚異常のメカ

聴覚異常のメカ

Cellの7月号から。Junのプレゼン。神経細胞や耳の感覚有毛細胞で選択的スプライシングを受け、活性が抑制されるRESTという転写抑制因子の機能を解明した研究。REST mRNAへのexon4の組み込みには、神経や有毛細胞に選択的に発現しているSRRM4によるスプライシングが必要であることが報告されていたが、進行性難聴に見られるC>G変異(REST4付近のイントロン領域にある)があるとSRRM4依存的スプライシングによるRESTの転写抑制作用がなくなるという。すなわち、exon4欠損マウスやC>G変異を有するヒトは、難聴を起こし、そのマウスに対し、HDAC阻害薬を投与すると、有毛細胞の減少や難聴を抑制するという。

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2018年7 月17日 (火)

治療抵抗性前立腺癌とIL-23

治療抵抗性前立腺癌とIL-23

Nature 6月号から。Kojiharuのプレゼン。前立腺癌に対する治療法としては、アンドロゲンの作用を除去する戦略がとられる。しかし、治療抵抗性を獲得しやすく、その増悪メカニズムについては明らかになっていなかった。本研究では、骨髄由来の免疫抑制細胞からパラクリン分泌されるIL-23が去勢抵抗性前立腺癌を増悪させていることを明らかにしている。抗IL-23抗体投与あるいはアンドロゲン受容体拮抗薬との併用により、有用性が高まることが明らかになっている。今後、臨床的な応用が期待できる。

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2018年7 月11日 (水)

アストロサイトと記憶スイッチ

アストロサイトと記憶スイッチ

Cell 6月号から。Misakiちゃんのプレゼン。海馬が記憶情報の獲得や長期記憶として固定化されるための入り口であることは知られている。今回の論文では、海馬のアストロサイトを活性化するとNMDAを介した記憶の獲得を促進すること、その際、記憶獲得に関連した神経細胞CA1選択的に活性化することを明らかにしている。アストロサイトが記憶スイッチとして機能し、それを自由にONすることができると面白い。神経細胞を直接活性化すると記憶には逆効果という。アストロサイト特異的に活性化することが重要という。

 

アルツハイマー病においては、アストロサイトが異常活性化しており、これは、炎症反応を意味していることは報告されていたが、アストロサイトは一方で、アミロイドβを分解する酵素を産生することも報告されている。

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