2014年6 月19日 (木)
肺障害の修復機構のメカ肺障害の修復機構のメカ
Cellの1月号から。B4のMaryの初ゼミ。しかも日本語で。肺にはBASCs (Bronchioalveolar stem cells) が存在し、肺の血管内皮細胞においてBMP4−NFATc1-Thrombospondin-1(TSP-1)というカスケードを介して、産生されたTSP-1がBASCsに作用し、肺胞2型上皮細胞へと分化させることを明らかにしたという内容。面白いのは肝臓由来の血管内皮細胞との共培養では、細気管支上皮細胞(クララ細胞)へと分化が誘導されること、肺胞にダメージを与えるブレオマイシンによる肺気腫病態時には、BASCsの増殖ならびにTSP-1も増加し、肺胞の修復へと向かうという。逆にナフタレンによる細気管支上皮のダメージ時は、BASCsの増殖はあるが、TSP-1は減少していることから、BASCsの分化は肺胞上皮細胞ではなく気管支上皮細胞への分化へと誘導されるという。BASCsはまだヒトでは確認されていないため、現時点では、マウスにおける現象であるが、今後の研究の展開が楽しみである。