PAGE TOP

2014年6 月18日 (水)

悪性リンパ腫に対する抗体治療の効果を増強するシクロフォスファミド併用療法とその機序

悪性リンパ腫に対する抗体治療の効果を増強するシクロフォスファミド併用療法とその機序

Cellの1月号から。cyclophosphamideによりAlemtuzumabの抗がん効果が増強し、いわゆる治療抵抗性を改善するという。そのメカニズムはcyclophosphamideが骨髄において悪性Bリンパ細胞に作用し、acute secretory activation phenotype (ASAP)を誘導するという。ASAPとは、がんの微小環境にTNF, VEGF, CCL4をがん細胞から放出されると周囲のマクロファージを活性化(数も増える)し、がん細胞がマクロファージにより貪食され、除去されるという現象のことである。治療抵抗性を示すがん細胞においては、プロスタグランジン合成酵素3とFc受容体FCGR2Bの発現が増加してくるという。このがん細胞から産生されるPGE2はマクロファージの活性化を抑制し、治療抵抗性に関与するという。他の抗体医薬でも同様な併用効果が認められることから、本知見は治療抵抗性を示すようになった時点で併用薬としてcyclophosphamideを検討する価値があることを示している。すでに臨床試験が実施されているという。ASAPは、cyclophosphamideの投与後できるだけ早く抗体医薬を投与しないとこの併用効果は認められないということに引っ掛けているようである。B4のYoshio君の初ゼミでした。Good.

 

1-s2.0-S0092867414000117-fx1

ご意見メール
clear_both