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2017年5 月12日 (金)

慢性骨髄性白血病の薬剤耐性の原因同定と新たな治療法の提案

慢性骨髄性白血病の薬剤耐性の原因同定と新たな治療法の提案

Nature Med. 4月号から。 Takada君のプレゼン。イマチニブに対する抵抗性獲得と再発が問題。これまで、様々な刺激が抵抗性獲得に寄与していることが明らかになっていた。本論文では、それらの刺激で共通して変化する分子として、c-Fos(AP1ファミリーであり、細胞増殖、生存、アポトーシス、発ガンに関与)とDusp1(MAPK抑制を介して、炎症•免疫制御、薬物抵抗性に関与)を見いだした。この両因子を同時にノックアウトしたマウスを用いたり、阻害薬を併用した時に、白血病細胞の増殖が抑制されたり、白血病病態マウスの生存率を劇的に高めることを見いだした。要旨の最後には、「増殖因子によってc-FOSとDUSP1の発現が誘導されると、さまざまなタイプの白血病でTKI療法に対する内因性耐性が生じるように、c-FOSとDUSP1の発現レベルがTKI療法の有効性の閾値を決定していることを示しており、c-FOSとDUSP1はキナーゼ活性化が関わるがんにおける「アキレスのかかと」的なものとなる可能性がある。」イマチニブを含めて三剤併用療法の有用性、その他の血液疾患やがん疾患への適用拡大などが期待されるという。副作用が比較的少ないとのこと。今後の臨床試験が楽しみである。

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