本日の朝ゼミでは、Cellの9月号に掲載された論文をM2のトミーが紹介した。14回目のセミナープレゼンである。内容は、インフルエンザウイルスが気道から感染すると、上皮細胞から進入し、複製・増殖しつつ、肺の血管内皮細胞から炎症性サイトカインを大量に産生させ、所謂、サイトカインストームを起こし、死に至らしめるが、その血管内皮細胞に選択的に高発現するS1P1受容体に作用するアゴニストを感染1時間後から数回投与すると、サイトカインストームが起こらず、死に至らしめる事がなくなることを明らかにしたもの。この論文で紹介された、S1P1受容体選択的アゴニストは経口投与でも有用であり、タミフルとは異なる作用点でもある事から,併用処置として用いられる可能性が高い。また、他のウイルス感染に対しても有用である可能性があり、今後の臨床試験の結果が楽しみである.この論文のもうひとつの面白いポイントは、肺の血管内皮細胞がサイトカインストームの大元である点である。色々と気になるデータがあったが、創薬という観点から将来性ある研究成果と思う。